井手口造園について

みなさんは「庭」と聞いて何を想像しますか。庭は、日本では昔から家の中と外の世界をつなぐ空間として重宝され、そこに住んでいる家族の暮らしやその歴史を紡いでくれる場所です。なにげなく窓の外に広がる景色を作っているようで、それを愛でる時間やほっと一息つく気分にさせてくれる特別ものです。
弊社は大正年間に林業の盛んな鳥取県八頭郡智頭町で創業し、令和の時代まで4代にわたって庭造りをさせていただいています。一言に庭といっても、一朝一夕でできるものではありません。例えば、雪が多い地域には雪を凌ぐ工夫をしたり、周りの景色をどう取り込んで設計するかを考えたり、その地域や家の建つ場所によってそれぞれに合う庭造りがあります。県東部の気象や文化に根ざした庭造りと、その維持管理を徹底してやってきたからこそ、地域の皆様に喜んでいただける仕事ができると思っています。
親から子へと、脈々と「技術」「技法」「知識」を継承しながら昭和から平成にかけて数多くの庭園を築き、また公園の設計施工や緑化事業等にも従事してきました。中でも、智頭町が誇る国指定重要文化財(平成22年に国登録、名勝庭園として観光名所になっている)の「石谷家住宅」の石谷氏庭園では、昭和初期より管理を任せていただいています。
私たちは決して大所帯の造園屋ではありません。ですが、職人の一人ひとりが、受け継いできた技にプライドを持ち、庭造りを通して「人」と「暮らしのつながり」を繋ぐ自分たちの仕事に、変わらぬ情熱と真摯な姿勢で向き合っています。

井手口造園 4代目 井手口啓二